# 第11章:おわりに
Code Editor→ Scripts→ Examplesには本書では取り扱えなかった様々なサンプルがあります。 もしあなたが実際の研究や実験でGoogle Earth Engineを使ってみようと思ったときは,まずこのExamplesを一通り覗いてみることをおすすめします。
# コラム:コードを共有しよう
実際に衛星画像に関する研究論文を読んでいると,自分も試してみたい・再現してみたいと思える論文に出会います。 しかしながらその論文の多くは,実験に使ったコードが共有されておらず,すぐに再現することが困難なことが多々あります。 その原因はいくつかあります。
まず1つ目として,商用のソフトウェアを使った実験が挙げられます。 例えばセグメンテーションではeCognitionというソフトウェアが度々使われています。 このソフトウェアはセグメンテーションの精度が非常に良いということで多くの人に愛用されていますが, このソフトウェアを持っていない人は実験を再現することはできません。
2つ目に,衛星画像のライセンスが挙げられます。 人工衛星を打ち上げるには多額の費用がかかるため,多くの衛星画像が有償で配布されてきました。 そういう画像はコードとともに内包するわけにはいかないので,コードのみを共有しても…という発想に至るのは仕方ないかもしれません。
3つ目に,技術の囲い込みが挙げられます。 これは自分が作成したコードを自分だけが知っていれば,研究成果を独占できるという発想からきます。 そのような誘惑にとらわれる気持ちも分からなくもないかもしれませんが,それでは科学の健全な発展につながりません。
このような話は,人工衛星解析の分野に限った話ではありません。 例えば近年話題の人工知能に関する研究のうち,コードを共有していたのはわずか6%という報告 (opens new window)があります。
Google Earth Engineは,誰でも使え,衛星画像もその場で読み込むことができ,またそのコードを共有することが推奨されています (opens new window)。 科学の健全な発展のために,みなさんも積極的にコードを共有していきましょう。